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カタール訪問

最後の訪問国カタールに来ています。今回の中東歴訪で唯一の初訪問国です。超高層ビルが建ち並び、経済発展の勢いと熱気を感じます。18世紀後半以降、インド洋と西アジアを結ぶ真珠採取と交易の拠点として栄えたカタールですが、1971年9月の英国からの独立後、その時々の指導者の先見性とリーダーシップの下、国家として急速な成長と発展を遂げてきました。

先々代のハリーファ首長は、第1次オイルショック後に急増した石油収入を活用し、製鉄や石油化学などの産業基盤の構築と工業化を推し進めました。次のハマド首長は、天然ガスを中心とした開発プロジェクトを推進し、そこで得られた富を国民に還元しながら、教育やスポーツの振興、医療の充実に精力的に取り組みました。

2013年に33歳という若さで首長に就任した現在のタミーム首長も、国民から絶大な信頼と尊敬を集めながら、「国家ビジョン2030」の下、脱「石油」後を見据えた経済の多様化や人材育成に重きを置いた改革を進めています。ミキモトの養殖真珠の影響もあり、脱「真珠」、エネルギー立国を目指したカタールが、今後は脱「石油」の経済発展に取り組んでいるわけです。

今年は、日カタール外交関係樹立50周年という節目の年です。これまでエネルギー分野を中心に発展してきた両国の関係は、「包括的パートナーシップ」の下、政治、文化、教育、スポーツ等の幅広い分野での重層的関係へと深化しています。ムハンマド外相との会談では、世界最大のLNG生産能力を誇るカタールからの長年にわたるLNGの安定供給に謝意を伝えるとともに、外交関係樹立50周年を機に、二国間協力を更に強化していくことで一致しました。また、カタールはアフガニスタン和平交渉をホストしてきたこともあり、現下のアフガニスタン情勢、中東情勢についても、じっくり議論しました。

近年、カタールはスポーツにも力を入れており、今回の東京オリンピックでは、男子走り高跳びのバルシム選手が金メダルを獲得しました。イタリアの選手と金メダルを分かち合い、喜び合うシーンは、多くの方の記憶に残っていると思います。ところで、カタールの「ドーハ」という言葉を聞いて日本人がまず思い浮かべるのは、1993年にあと一歩のところで初のワールドカップ本戦出場を逃した「ドーハの悲劇」ではないでしょうか。あれから約30年、日本のサッカーは間違いなくレベルアップしています。来年のFIFAワールドカップは、中東、カタールで初開催。カタール資本のチームには、ブラジルのネイマール、フランスのエムバペがおり、さらに今回メッシが加わることになり、サッカー熱がさらに盛り上がると思います。日本代表がカタール代表と共に、このドーハの地で躍動することを楽しみにしています。