活動報告 活動報告

TICADⅤ テーマ別会合1
「開発の原動力としての民間セクター、貿易と投資」 スピーチ

平成25年6月2日

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■私がTICADに携わるのは、これで3度目になります。10年前は外務副大臣として、5年前は与党の政策の責任者として、日本がいかにアフリカの開発に貢献できるかを真剣に考えてきました。今回は、日本の経済政策の責任者として首脳や閣僚の皆様にお話しする機会を得られ、嬉しく思います。

■私は、今必要なことは、めざましい発展を遂げたアフリカとの関係を次なるステージへとつなげていくことだと考えています。私は、日本とアフリカの関係を、日本企業が現地に根ざし、アフリカにじっくりと向き合うような関係へと変え、日本が「信頼できるビジネスパートナー」としてアフリカの更なる発展に貢献し、ここにいる皆様から信頼され、評価される存在となることを目標としたいと思います。

■この目標を実現するための取組は、4本の柱で構成されます。

■第一に、日本企業とアフリカ企業とのビジネス関係を抜本的に強化します。

■まずは双方の企業が互いを身近に感じられるよう、複数のビジネスフォーラムを企画しました。5月16日から17日にかけ、アフリカの資源開発をテーマにした日本初の国際会議「J-SUMIT」を開催し、50ヶ国から約2,000人の参加を得ました。今回、このパシフィコ横浜の展示ホールでは、「アフリカン・フェア」を開き、日本とアフリカと製品を展示しながら、ビジネスマッチングの場を設けています。アフリカの食を紹介するコーナーもあります。寿司や天麩羅に飽きた方は、是非お越しください。

■あわせて、日本とアフリカのビジネスニーズを結びつけるため、ジェトロの機能を大幅に強化します。具体的には、現在、アフリカに5つあるジェトロ事務所を倍増するとともに、技術力のある日本企業とアフリカ企業とのマッチングを行います。

■ファイナンス支援も重要な要素です。先月初めて開催した「日アフリカ資源大臣会合」において、私は、JOGMECから資源分野に特化した20億ドルの金融支援を実施することを表明しました。また、アフリカ19ヶ国を対象に、明日から貿易保険の引受方針を緩和することをこの場で表明します。投資協定の締結も、どんどん進めていきたいと考えます。

■第二に、アフリカのインフラ整備に官民一体となって貢献していきます。

■日本企業は、様々な分野においてアフリカの厳しい気象条件に耐えられる高度な技術を有しています。私は、地熱発電、貨物鉄道、浄水設備など日本が強みを有する分野に注力し、日本からの官民ミッションの派遣やアフリカの関係者の招聘を通じて、皆様が日本の技術に直に触れる機会を増やしていきたいと考えています。

■第三に、アフリカの雇用創出と人材育成に力を入れます。

■人口の増加は、アフリカ市場の大きな魅力です。その分、若年層の雇用確保が喫緊の課題となっています。日本は、この点でもアフリカの最適なパートナーになれる存在です。

■現在、日本企業は、総計20万人の雇用をアフリカにおいて創出しています。私はこれを、日本とアフリカのビジネス関係を強化することにより、次回TICADまでに40万人に倍増させることを目標として掲げます。同時に皆様には、こうした企業のビジネスが成功裏に進むよう、引き続き投資環境の整備をお願いします。日本としても協力は惜しみません。

■人材育成については、私は、「日アフリカ資源大臣会合」において、5年間で1,000人の資源分野の専門人材育成協力を掲げました。これに加え、インフラ開発や製造業に携わる産業人材をJICAやハイダ(HIDA)を通じて育成していきます。

■最後になりますが、環境分野の協力や地域社会との共生を忘れてはいけません。

■アフリカが成長と環境の両立を図るにあたって、地熱発電など日本の環境技術は必ず役に立ちます。気候変動対策の観点から、私は、日本の環境技術の途上国への導入を促す「二国間オフセット・クレジット制度」の構築を目指しています。先週の27日には、エチオピアとの間で合意文書に署名しました。本制度はアフリカの経済発展と地球環境の改善に大きく貢献するものと確信しており、アフリカの様々な国と議論を重ねてまいりたいと思います。

■また、地域社会の開発は、急速な都市化のなかで取り残されがちです。日本政府は、学校の建設、病院の整備、地場産業の振興など地域社会との共生に取り組む日本企業を、様々なスキームを活用しながら積極的に後押ししていきます。

■今から約50年前の1964年、東京でオリンピックが開催されました。東京オリンピックのフィナーレを飾る男子マラソンでは、エチオピアのアベベ選手が先頭を走り、沿道を日本の子供たちが一緒に走っているシーンが印象的でした。

■日本は、長期的な視野を持って、アフリカの経済開発を実現するために共に歩んでいきます。

■そのためには、今回の成果を踏まえ、具体的にフォローアップしていくことが重要です。早い機会に、私自らが情熱と希望の大陸アフリカをこの足で踏みしめ、皆様と一対一で解決策を見出していきたいと考えます。