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国会の会期延長と経済対策の発表にあたって

先週はあわただしい一週間でした。まず国会の会期延長。先週の水曜日6月19日に会期末を迎える予定だった今通常国会は重要法案の追加審議、成立のため7月31日まで42日間の会期延長となりました。 ここまでの通常国会を振り返ると1月末に「眞紀子VS宗男」のバトルで始まり、その後も相次ぐスキャンダルの勃発・表面化で重要な政策課題の議論がかき消されてしまった感が否めません。 先週、これらの問題についても一応の進展がみられました。鈴木議員については水曜日逮捕となり、また金曜の衆議院本会議において議員辞職勧告決議案が可決されました。また、田中議員についても党紀委員会で2年間の党員資格停止処分が昨日決定されました。これからの残された会期は重要法案の審議(今の予想でいえば健保法改正と郵政関連法案は成立。有事法制と個人情報保護法案は成立は困難)と、当面の景気対策に集中したいものです。 景気対策の面では先週2つの注目すべき対策・方針が発表されました。まず17日月曜日には政府与党の「当面の経済活性化策等の推進について」(第2次デフレ対策)が発表され、21日経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(いわゆる骨太方針)が取りまとめられました(正式決定は25日の閣議)。 前者が短期中心の対策なのに対して、後者は中長期の施策という性格の違いもありますが、あえて厳しい見方をすれば同じ政府の対策でありながら前者は積極型対策、後者は緊縮財政指向という決定的な相違があり、自民党総務会でも厳しい意見が続出しました。私も全体的にはあまり高く評価していません。 その一方で、私がここ数年間訴え続けてきた、例えば国立大学の独立行政法人化、IT分野でのⅠ種・Ⅱ種の事業区分の廃止などの規制緩和といった項目もようやく政府の公式の政策として盛り込まれることになりました。特筆すべきは贈与税の引下げの問題です。私は個人金融資産の世代間の移転と消費の活性化の観点から一貫して相続税・贈与税の見直しを提唱してきましたが、これについても平成15年1月より贈与税の引下げがいよいよ実施される予定です。 余談ですが、先週号のThe Economistの中国関連特集記事(A Dragon out of puff:龍の息切れ)は秀逸です。中国の台頭や脅威という表層的な一面ではなく、より詳細な分析から今後の中国の課題を見事に描き出しています。日本のメディアにもこれ位のレベル、能力があればと常々感じます。