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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年5月7日(火)
10:06~10:21
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

 おはようございます。5月になり、今日からクールビズとさせて頂きます。私から最初に二点。

 

【コロンビア、ブラジル、米国出張】

 まず一点がゴールデンウイークの海外出張の件でありまして、4月29日から5月6日の昨日まで、コロンビア、ブラジルそして米国に出張してきました。
 まず、コロンビアでは、サントス大統領への表敬、そしてディアス・グラナドス商工観光大臣及びレンヒフォ鉱山・エネルギー大臣との会談を行ってまいりました。サントス大統領との表敬及びディアス・グラナドス商工観光大臣との会談では、日・コロンビアEPA交渉を加速し、年内に基本合意を目指すことで合意しました。また、日本と太平洋同盟との連携強化等について意見交換を行いました。先方からは、日本・コロンビア経済関係の強化について、強い期待が寄せられたところであります。また、日本から同行の企業ミッション団が参加します投資セミナーを実施しまして、貿易投資環境の整備に向けた方策について意見交換を行ってまいりました。
 ブラジルにおきましては、日本で官房長官にあたるホフマン文官長、それから、ピメンテル開発商工大臣、ロボン鉱業エネルギー大臣との会談を行いました。特に、ピメンテル開発商工大臣との会談では、インフラ輸出協力に向けた取組を行うとともに、日本から同行した企業ミッション団が参加する投資セミナーを実施し、貿易投資環境の整備や産業協力の促進に向けた方策について意見交換を行ってまいりました。また、これらの問題をフォローするために、日伯貿易投資促進産業協力合同委員会の設置に合意しました。
 米国では、ブルッキングス研究所での講演、ポネマン・エネルギー長官代行、クルーガー経済諮問委員会委員長、ドナヒュー全米商工会議所会頭との会談、及びマーセラス・シェールガス採掘サイトの視察を行ってまいりました。ブルッキングス研究所での講演では、成長戦略、エネルギー政策、貿易自由化を始めとした日本の経済成長戦略について広く情報を発信しました。また、ポネマン・エネルギー長官代行との会談では、米国の天然ガス輸出の早期の承認を要請するとともに、エネルギー分野の日米協力をより高め、広げていくこと、原子力安全について、二国間原子力委員会の場において対話を促進することで合意しました。また、シェールガスの採掘サイトについては、このマーセラス採掘サイト、2006年に生産を開始したわけでありますけれども、現在の生産量はLNG換算で約7,000万トン、毎年大体1,000万トンずつ増加しているということです。現在の日本の世界からの輸入量が大体9,000万トンですから、いかに大きいかということがわかると思います。可能性の大きさ、ポテンシャルの大きさを実感してまいりました。

 

【双葉町における避難指示区域の見直し】

 もう一点、国内の問題でありますが、双葉町における避難指示区域の見直しにつきまして、本日、原子力災害対策本部会議を持ち回り開催しまして、双葉町における避難指示区域の見直しを決定しました。
 具体的には現在、警戒区域に指定されている双葉町全域について、放射線量に応じて、避難指示解除準備区域、そして帰還困難区域の二区域に見直しをしました。なお、双葉町の区域見直しは、区域の運用などに関する住民の方々への説明や周知に必要な準備期間を考慮して、5月28日火曜日の午前0時に実施することにします。これをもちまして、警戒区域及び計画的避難区域の対象11市町村のうち、10市町村について区域の見直しが終了したことになります。残る川俣町についても、できるだけ速やかに実施してまいりたいと考えております。この点の詳細につきましては、後ほど事務方から、またブリーフをさせていただきたいと思っております。
私からは、以上です。

 

 

 

(質疑応答)

 

【原発安全検証に向けた新組織】

Q: 先ほど出張の御報告をいただきました中でブルッキングス研究所の御講演の中で、原子力の安全性向上に向けた新しい組織について言及されていましたが、その点について、もう一度御説明いただくことはできますでしょうか。

 

A: 原発については、ブルッキングスで申し上げましたが、安全第一の原則、そしてその安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ねるということにしております。その上で、産業界が単に規制委員会の規制基準にとどまらず、客観的なリスク評価に基づいて、自主的に安全性を常に向上していく取組の在り方について、新たな組織の設置も念頭に置きながら、産業界、学会の専門家を集めた形での研究会を開催したいと考えております。そして、その研究会の議論を踏まえまして、御案内のとおり、米国にはINPOといった機関ができているわけでありまして、そういったものを参考にしながら、日本として、この安全性向上に民間が自主的に取り組む組織についても今後検討していきたいと思っております。

 

 

【米国からのLNG輸入】

Q: もう一点伺います。ポネマン代表代行との会談でLNG早期輸出を要請されたということですが、いつごろ承認が得られるかという見通しをお持ちでいらっしゃいますか。

 

A: 具体的な時期については、ポネマン代行も立場上なかなか言いにくいということがあると思います。ただ、ポネマン代行の表現としまして、このLNGの輸出許可について、日本にとって最優先かつ緊急の課題であることは十分理解して、その上で法律に基づいた審査をしっかり行っていきたい、責任を持って行っていきたいという答えでありましたので、早期承認に向けて期待の持てる反応だったと考えております。

 

 

【福島原発事故へ取組】

Q: 先週に東京電力の下河辺会長らと茂木大臣とで会談されて、その時に政府として一歩前へということでありましたが、一歩前へというのを口だけでなく、行動として何らかのことを踏み出すということで考えていいのかということと、それは大体いつぐらいまでに一歩を踏み出していくというお考えなのか。

 

A: この廃炉は長い期間を要する。そして、事業者だけでは、なかなかこれを加速していくのは困難な課題であると考えております。様々な英知も結集しながら、この人類が直面する初めての難題に取り組んでいく。こういうことから既に民間施設を作ったり、研究開発の面では、国が前面に出るということは既に決めているわけでありますけれども、今後、このロードマップも6月に見直しとなります。そういった過程を考えて、それ以降にどのようなことについて、どういう役割分担をすればいいか、検討していきたいと現段階では考えております。

 

Q: 去年の11月に東電の取締役から政府に対して今の枠組みを見直してという、賠償問題など、そういうことが要望として出ていますけれども、これについての現在の認識は。

 

A: 昨年の11月の話でありますけれども、枠組みの在り方等 について、東電側として、もしくは社外取締役として、再検討してほしいという思いを持たれているということは十分承知いたしております。

 

Q: ここについて一歩前にという意味合いはあったのですか。

 

A: それも含めて検討したいと思っています。

 

 

【原子力協定】

Q: 連休中には、総理がロシア、UAE等々に行きまして原子力協定を結んできたわけですが、経済産業大臣としてはこの点について、原発の輸出等についてどのように思われるかということを教えていただけますか。

 

A: 我が国としては、これから国際展開戦略の大きな柱として、インフラシステム輸出を考えております。その一方で原子力については、国内においても、そして海外に出す場合も安全性第一といったことで考えていきたいと思っています。今回、総理が中東を訪問しまして、アラブ首長国連邦、そしてトルコとの間でエネルギー協力を進める、さらには、原子力協定を進めるということで大きな弾みがついたと考えております。我々としては、もちろん、福島第一の事故の反省、教訓を踏まえて、安全な原子力について、相手側の国の要望がある場合に、それを踏まえて輸出を行っていくという基本方針でありまして、そういった方針に基づいて総理がお進めいただいた話だと理解しております。

 

 

【双葉町における避難指示区域の見直し】

Q: 先ほどの双葉町の話ですけれども、人口で言うと96%ぐらいの方が帰還困難に当面なるということだと思します。それから、その残り4%の方は、もう少し希望が持てる地域になるかと思うのですが、事実上、この町がなくなってしまうことに対する今後の国としてのフォローの在り方についての考え方を教えてください。

 

A: これは客観的な数値に基づいて区域の見直しを行うということでありまして、当然一つの町が町として、本来であれば一体感が持てるということは必要と思っています。そういったことも踏まえながら、この区域そのものは違う区域に分かれていきますけれども、地域がこれからできるだけ一つの固まりを持っていきたいという気持ちはこれからも大切にしていきたいと思っています。

 

 

【原子力協定、双葉町における避難指示区域の見直し】

Q: 一つは、原発輸出のことなのですが、結局、使用済み核燃料の問題とか、日本は全くまだ未知の世界にあるにもかかわらず、安全性を売るということが今の日本政府として、そういう資格があるのかどうかということについて、どう思われるのかということが一点と。それと、双葉町の件ですけれども、双葉町長から、新しい町長から7項目にわたる要求が国に対して示されていますが、それについてはどういうふうに判断なさったのかという、この二点についてお伺いしたいのですけれども。

 

A: まず第一点目でありますが、当然今後の核燃料サイクルをしっかり進めていく。このことについては、今までも申し上げているところであります。このサイクルが回るようにしていかなければならない。同時に、これは日本だけではなくて、他の国も同じような困難に直面しておりますけれども、最終処分場をしっかり次世代に先送りせずに決めていかなければならないという思いを持っているところであります。ただ、それができないから全てのことを止めてしまうことが正しいのかといいますと、我々はそうは思っておりません。
 双葉町の町長始め、地域の皆さんから来ている要望については、一つ一つ吟味し、丁寧に対応していきたいと思っています。

 

 

(以 上)