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平成22年6月掲載 第174回通常国会閉会にあたって

通常国会が本日(6月16日)閉会致しました。報道等でもご案内の通り、この数週間、国会はめまぐるしい動きでした。5月まで国会周辺では「鶴は千年、亀は万年、鳩は1年」と言われていました。それが結局、鳩は8ヶ月、亀も8ヶ月ということになりました。

菅新政権の発足早々、郵政法案の処理をめぐって亀井大臣が辞任、これで昨年発足した連立政権の3党首全てが辞任ということになりました。まさに政権運営の行き詰まりを象徴していると思います。

鳩山総理の退陣も「普天間」と「政治とカネ」の問題だけではなく、民主党のマニフェストが財源面で破綻するなど、政策・政権運営全体に行き詰ったからです。当然鳩山総理の後を受けた新内閣は、鳩山内閣から何を引継ぎ、何を変えるのか明確にすべきです。ところが、先週金曜日の菅新総理の所信表明や今週の代表質問でも、この点が極めて曖昧でした。

株価は先日今年最安値をつけ、景気の先行きも不透明、口蹄疫も感染が拡大しています。さらに、鳩山内閣が途中で放り出した普天間問題や経済財政運営の問題もあります。これらの政策課題について、国会で十分な議論を行い、来るべき参院選での争点や選択肢を明らかにするためにも、予算委員会の開催が必要と強く求めましたが、逃げの姿勢の菅・民主党政権は予算委員会を1日も開くことなく国会を閉会に持ち込みました。予算委員会での自民党の質問バッターとして、私も準備を進めていたため強い憤りを感じています。

菅新総理が主張する「第3の道」はもともと英国のブレア首相が提唱した政策路線です。そのブレア首相は、英国で2001年5月に口蹄疫感染が拡大した際、選挙日程を1ヶ月延期して対策にあたりました。

菅さんもどうせ真似るなら、「第3の道」というキャッチフレーズではなく、ブレア首相のこういった政治姿勢を見習ってほしいと思います。

新政権には、確かに「普天間」や「政治とカネ」の問題もありますが、私が特に強調したいのは、昨年の政権交代以降、新政権には経済成長戦略と財政健全化の方針が全く不在だということです。例えば「第3の道」にしても、ブレア首相は「ゆりかごから墓場まで」という英国の伝統的な福祉国家でも、競争重視のサッチャー流の新自由主義でもない、双方の利点を取り込んだ公正で効率的、活力のある社会作りという明確な国家ビジョンを示しています。これに対して菅総理の「第3の道」は90年代が公共事業偏重、2001年以降の小泉内閣は市場原理主義と過去の政策を批判するだけで、明確な国家ビジョンが全く示されていません。

菅総理は就任会見で「最小不幸社会」をつくると言っていますが、何か縮み思考、マイナス思考に聞こえます。これに対し、自民党は今回の参院選公約でもプラス思考で、日本の様々な分野(例えば、ものづくり、科学技術、安心・安全など)でNo.1、「いちばん」を目指していきます。選挙公約では3点を強調しています。

 

(1)バラマキではなく、経済の成長と雇用の拡大に最重点で取り組むこと。

(2)「恒久政策には恒久財源」という責任ある政策運営で財政再建を進めること。

(3)子ども手当のようなバラマキ、現金給付ではなく、学校給食の無償化、子供の医療費無料化、保育環境の整備・充実など、子育て支援のサービス給付に重点を置くこと。

 

特に景気対策、成長戦略については「日本の未来を切り拓く成長戦略」として、5つのポイントを掲げています。

まず、経済成長の目標として

①この3年間にあらゆる政策手段を総動員し、デフレからの脱却、名目4%の経済成長を目指す。

②今後10年間で、雇用者所得の5倍増を実現する。つまり、給付より給与を重視していく。 次に、国際競争力の観点から

③法人税率を国際水準の20%台に思い切って引き下げる。

④環境・エネルギー、医療・健康、情報通信など、10分野を戦略的に選び集中的に投資する。No.2ではなく、世界No.1を目指すということ。

最後に、雇用情勢、特に新卒者の就職状況が厳しい中で ⑤就職の決まらない新卒者を「トライアル雇用」する企業へ最大3年間補助金を支給する「トライアル雇用制度」の創設で新卒者の100%就職を目指す。

いよいよ参議院選挙本番を迎えます。私も党幹事長代理として、テレビ出演や選挙応援など忙しい毎日になると思います。 暑い日が続くことと存じますが、皆様にはくれぐれもご健勝にてお過ごし頂きますことをお祈りし、ご挨拶と致します。

2010年6月16日掲載