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米国出張概要


○全体日程

8月27日から4日間の日程で米国に出張し、米経済の先行き及び金融セクターへ与える影響について、バーナンキFRB議長、コックスSEC委員長、ガイトナー ニューヨーク連銀総裁、ストロスカーンIMF専務理事等と意見交換してきました。

面談では、米国のサブプライム・ローン問題に端を発する世界的な金融の混乱がGSE問題をはじめ新たな局面を迎える中で、この問題はグローバルな金融市場を通じて各国の実体経済に影響を及ぼす深刻な問題であるという認識を共有した上で、両国金融当局の間でさらに緊密な協力関係を構築してゆくことが重要であるとの共通認識に至りました。

また、米国や欧州の金融市場の混乱と今後の対応が、我が国の金融機関や金融システム全体にどのような影響を及ぼしうるかについても、様々な角度から率直な議論を行うことができました。

更に、日本の金融・資本市場の国際競争力を強化する観点から、米国金融当局者のみならず、パンディット シティーグループCEOはじめ、米国の市場関係者等とも直接、意見交換を行ってきました。

金融担当大臣に就任後、初めて、米国の金融当局者や市場関係のトップと会談を実施しましたが、現下の厳しい情勢の中で率直な意見交換ができたことは非常に有意義でありました。

○ 各テーマについて

1.米国経済一般

米国経済については、出張中に第2四半期GDPの改定値が公表され、3.3%と事前の予測を上回る強い数値が明らかになったものの、今後の見通しについては、不動産市場の厳しい状況が続いていること、住宅価格の下げ止まりがないことには実体経済の回復も難しいこと、更に、金融機関の問題や、ファニーメイ・フレディーマックといった政府支援機関(GSE)の問題もあることから、全体として、年末から来年にかけては慎重な見方が多く示されました。

2.米国金融情勢

米国では、金融セクターの混乱が実体経済を減速させ、そのことが再度、金融セクターを弱体化させるという悪循環が進んでいると考えられます。こうした厳しい状況が海外の金融機関や国際金融システムに与える影響についても、引き続き高い警戒水準を維持しつつ注視していくことが必要であると考えられます。

日本の金融機関にも関連のあるGSEについては、米国の不動産市場、住宅ローン市場にとって最重要な存在との認識の下、状況をみながら必要な措置は全て取ってゆくとの明確な見解がバーナンキ議長やガイトナー総裁から示されました。日本側としても、このような米側の対応をポジティブなものとして評価したいと思います。

更に、金融監督規制のあり方について、金融が実体経済の変動に与える影響(つまり金融が景気のフレ幅を増幅するという問題)やディ・レバレッジの動きも含め、国際的な議論を深めていくことが重要であるとの認識で一致しました。

3.日本経済の強み

日本の金融市場の競争力強化に関連して、日本には次の3点の強みがあり、こうした強みを伸ばしていくことも重要との指摘がありました。

①1500兆円にも上る個人金融資産の存在

②技術力の高い企業が集積し、広範なイノベーションが行われていること。これは他国では真似ができないこと

③高い成長力を持つアジアにあって、Intra-Asiaの相互交流の中心になること

現下の日本経済は原油高など厳しい局面にありますが、マイナスだけを強調するのでなく、プラス面をいかに伸ばすかという視点も大切であると再認識しました。