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衆議院予算委員会代表質問

平成22年1月22日

1月22日の衆議院予算委員会で自民党を代表して質問に立ちました。

当日はテレビ中継もあり、その後のニュースなどでも私と総理のやり取りが報道されましたが、質疑の全体の内容は以下の通りです。

鹿野委員長 

 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 昨日の谷垣禎一君の質疑に関連し、茂木敏充君から質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。茂木敏充君。

茂木委員 

 おはようございます。自民党の茂木敏充です。

 平成二十一年度の第二次補正に関連しまして、昨日に引き続きまして、総理そして関係大臣の方に質問をさせていただきます。

 鳩山総理、やはり鳩山総理の金銭感覚、我々とは随分違うな、こういうことを感じます。お母さんの方から毎月一千五百万円、恐らくサラリーマンの年収をはるかに超えるような資金提供を毎月受けて、合計で十二億六千万円、いわば子ども手当を受け取っていた、総理は全くそれを御存じなかったと。恐らく、国民のだれもが、信じられない金銭感覚だな、このように感じていらっしゃると思います。

 その一方で、総理は常に、国民目線、国民生活、こういうことを強調されておられます。本当に総理がそういった国民感覚を持っていらっしゃるんだろうかと、多くの国民の皆さんが疑問に感じていると思います。

 そこで、まず、国民生活に密着した税と年金の問題について、基本的なことを二点、総理に確認させていただきたいと思います。基本的なことですから、後ろの官僚の方に頼らずにお答えいただきたいと思うんです。

 まず、税についてでありますけれども、これから国がお願いをする確定申告。確定申告の受け付けは、いつからいつまででしょうか。それから、国民にお支払いいただいている国民年金の保険料。国民年金の保険料、これは現在幾らでしょうか。お答えください。

鳩山内閣総理大臣 

 茂木議員にお答えをさせていただきます。

 今、私が母から贈与を受けていたということに関して、大変に国民感覚とずれていたのではないか、そのことを知らなかったはずはないと、きのうも多くの委員の皆さんからそのような御指摘を受けました。事実は事実として申し上げなければならないと思っておりますが、そのことに関して、しかしながら、国民感覚は決して忘れずに努力をしてまいりたいと思っております。

 確定申告の時期は、私も正確な月日を覚えてはおりませんが、二月の中旬から三月の中旬ではないか、そのように考えております。正確な日にちに関しては必ずしも理解しておりませんが、恐縮です。

 それから、国民年金ですか。国民年金の保険料は一万四千円程度ではなかったか、そのように理解をしております。

茂木委員 

 最近、総理はツイッターを始めたようでありますが、今も海江田さんのツイッター、つぶやきでお答えいただいているようですけれども。二月の十四日という話でありましたけれども、確定申告、二月の十六日から三月の十五日。総理がお願いをする立場だと思います。それから、国民年金の保険料、一万四千六百六十円だと思います。ぜひメモしておいていただきたい、こんなふうに思います。

 なかなか、贈与税もお支払いになっていらっしゃらないから、こういった確定申告の時期についても正確な答えが出ないということになるのかもしれませんし、さらには、国民生活が第一、こんなふうにおっしゃりながら、年金の基本中の基本であります国民年金の保険料すら知らない。

 私は、やはりこういった言葉とは裏腹に、鳩山内閣は大きな問題点、そして欠陥が四つある、こんなふうに考えております。

 その一つは、現状認識の甘さ、そして危機感のなさということだと思います。そして二つ目に、言行不一致。選挙まで、これまで言ってきたことと、実際に政権をとってやられていること、これが全く違うということです。そして三つ目に、多くから指摘をされておりますが、残念ながら、総理のリーダーシップが見えない、発言がぶれる、基本方針があいまい、そして司令塔がないまま、その場しのぎの対応、場当たりの対応が行われる、こういうことであります。

 発言がぶれるということでいいますと、昨日も総理は捜査について、この国会では、公正中立、こういうことをおっしゃっていましたが、その一方、その後、石川議員につきまして、起訴されないことを望むと行政の長として発言をされています。行政の長として私は異例の発言だ、こんなふうに思っております。中立公正な捜査をと言いながら、その一方で、行政の長が起訴されないことを望むと。総理、明らかに矛盾されているじゃないですか。

鳩山内閣総理大臣 

 私は一貫して、捜査に対しては、公正である、そのことを冷静に見守る必要があるということを申し続けておったところでございます。

 御案内のとおり、多くの国民の皆様方の支持をいただいて当選をさせていただいた、政権交代を果たさせていただいた、その一議員が逮捕されるということは大変遺憾なことだ、そのように私も思っております。したがって、取り調べの結果、起訴されるなどというようなことになれば大変申しわけない、そう思っておりまして、私自身は、その意味で、予断を持たずに申し上げれば、捜査によって無実が証明されればよいがな、そういう思いで申し上げたつもりでございまして、捜査に関して、すなわち検察に対して私が介入するなどという意図は毛頭持っておらないことは、どうか御理解を願いたいと存じます。

茂木委員 

 総理、そうであったらば、起訴されないことを望む、この発言は何なんですか。

鳩山内閣総理大臣 

 まさに仮定の話を記者が聞かれたものですから、仮定なことはない方がよいがという思いで申し上げましたけれども、その趣旨は今申し上げたとおりでございます。

茂木委員 

 そうすると、起訴されないことを望むという発言は撤回されますか。

鳩山内閣総理大臣 

 今、もしそのような誤解を与えてしまうということであれば、撤回を申し上げたいと思っております。

茂木委員 

 やはり総理の発言は、今、野党の党首ではありません、国のトップ、行政の長なんです。そういった責任感に欠けていらっしゃる点があるんじゃないかな、こういうふうに今感じます。

 責任感ということで申し上げると、現政権の予算、そして政策を見ても、例えば未来への投資という視点、それから将来への責任感、こういった点が欠けているんじゃないかなと。

 今申し上げたように、現状認識の甘さ、そして言行不一致、さらに総理のリーダーシップが見えない、そしてまた未来への責任感がない、こういった点に関連して、この後、補正予算につきまして質問させていただきたい、こんなふうに思います。

 まず、一次補正の凍結と二次補正の関係についてお聞きをしたいと思っております。

 鳩山内閣が発足をいたしまして、我々が四月に緊急の経済対策、十五兆円をまとめました。リーマン・ショック以降の世界的な経済の落ち込み、日本の経済の落ち込みの中で策定をして、速やかに進めてきたこの一次補正でありますが、十月に凍結と。来年度の予算の財源を確保する、三兆円だと思います、この財源の確保のために十月に凍結をいたしましたが、十二月になりますと一転して、この財源、二兆九千億も使って、全体で七兆二千億の補正の策定、こういうことになったわけであります。

 それでは、どのような理由でどのような事業をとめられたんでしょうか。また、二カ月後になぜ補正予算の編成となったんでしょうか、お聞かせください。

菅国務大臣 

 第一次補正予算の執行停止というのは、もちろん全部を執行停止したわけではありません。その中で、例えば箱物、中には漫画何とか館というのもありましたが、そういう箱物などを中心に、もともとのコンクリートから人へという考えの中で、これは必要がない、あるいは不要不急である、そういうものについて執行を停止したんです。単に財源を出すための執行停止ではなくて、財源配分を根本から変えることがこの政権のまさに一丁目一番地の仕事だということで、総理の指導のもとにやったわけであります。

 そういった意味で、約三兆円の執行停止をいたしましたが、二次補正において、それを含めて七兆二千億、事業規模で二十四兆円の補正予算を組みました。まさに今御審議をいただいているわけであります。これによって、一年程度の間に、GDPでいうと〇・七%程度の上昇、そして雇用でいえば、八十万人の雇用が下支えされ、二十万人の新たな雇用が生まれる。もちろん一次補正の停止によって、三年にわたって計算すると〇・四%程度のマイナス効果が出ますから、合算するとプラス〇・三%程度のGDPの上昇と、今申し上げました、雇用において百万人の下支え及び創出効果がある。

 これが、この二次補正のまさに提出をいたした趣旨であります。

茂木委員 

 今、菅大臣の方から、不要不急の事業をとめられた、こういう話がございました。

 昨年の一次補正の審議の中で、民主党の皆さんは基金の問題をいろいろ指摘されていました。基金に対してはどのようにお考えですか。

菅国務大臣 

 たしか基金の中でも幾つかのものについては戻していただいたと思っております。

 例えば、人材育成などについては、私たちも野党の時代からトランポリン法などを出して、そういうことが必要だということは言っていましたが、三年間にわたる基金であったことで、それは、将来は恒久制度にするということも含めて、たしかある時期から先の分については凍結をし、一たん返却をお願いいたしました。

茂木委員 

 総理、朝三暮四という言葉を御存じでしょうか。もし御存じでしたら、お答えください。朝三暮四です。

鳩山内閣総理大臣 

 朝三暮四ですか、それはよく知っています。朝三暮四という言葉は知っております。朝三つ、夜四つという話で、朝決めたことと夜決めたことがすぐ変わるという意味で、すぐに物事が変わっていく、あっさり変えてしまうということだと理解をしています。

茂木委員 

 今総理がおっしゃったのは、多分、朝令暮改だと思うんですが、別に四文字熟語の知識を試しているわけじゃないので、私の方から申し上げます。

 これは、中国の宋の狙公が飼っている猿にトチの実を与える、それで、朝に三つ、そして夜に四つ与える、こういうふうに言いましたら、猿が少ないと怒りましたので、朝に四つ、そして夕に、暮れに三つ、こういうふうに申し上げたら大いに喜んだ、こういう話でありまして、一日の数は七つで一緒なんですね。ところが、朝と夕方の数を変える、こういうことでごまかすということなんです。

 今、政府がやっていることは、まさにこの朝三暮四。昨年の十月に一次補正を凍結しておきながら、来年度の予算を見てみますと、事業で七十六の事業、そして三千七百六十八億円を堂々と復活しているわけであります。それだけではなくて、くくりを変えた事業の内数として入っているもの、また、再検証中となっているもの、これが三千五百億ぐらいございます。トータルをしますと、とめた、執行停止になった二兆九千億の四分の一が来年度の予算で復活をする、こういうことになるわけであります。

 それならば、なぜ執行停止をしたのか。この二次補正には、一次補正の執行停止分の減額も入っているんですね。本当に必要な事業だったらとめなければよかったじゃないですか。そして、必要のない事業だったら来年度の予算に計上しなければよかったじゃないですか。いかがでしょうか、総理。

菅国務大臣 

 どうも茂木議員は、中身をよく精査されて言われているのか、ごく一部を取り上げて言われているのか、よくわかりませんが、先ほど私が申し上げたように、例えば人材育成の、当初皆さんの一次補正で七千億積まれたものについてかなり凍結いたしました。しかし、それはなぜ凍結したかといえば、初年度あるいは二年度分ぐらいまでは十分賄えるという見通しの中で、三年度分かもうちょっとか、細かい数字が必要であればどこかで聞きますが、それは凍結をして、そして次の段階で最終的にはそれを使った恒久制度につなげていこうということであります。

 そういう意味で、政策的に不要不急という意味でとめたものと、内容的に必要がないからといってとめたものと、両方あるわけでありまして、不要不急に関しては、本予算では、時間がたつわけですから、去年の段階、一次補正では必要がないけれども、来年度の予算では時期的に必要になるものについては、それを復活させるというのは当然のことではないですか。

茂木委員

 大臣、もう少しそれぞれの事業を見て、同じ事業が単に半年だけずれてたくさん残っています、そういったことについてよくごらんになったんですか。全部の事業を見ました。きちんと見た上で発言をさせていただいております。

 それから、一次補正について、民主党は、衆議院の本会議は残念ながら欠席という形でありましたが、参議院の本会議で反対。反対討論に立たれている代表の方は、反対の第一の理由として、基金の問題を取り上げまして、こんなふうにおっしゃっています。このような巨額の予算を公益法人等の基金に繰り入れ、多年度にわたって支出することは憲法の趣旨にももとる。この考えに変わりはありませんか。

菅国務大臣 

 つまり、今のお話は、基本的には予算というのは単年度主義というのがこれまでの原則でありますから、極端に言えば、十年後までを基金に積んで、それが十年後までこういうふうにやるなどというやり方をとるとすれば、それはその精神に反しているわけでありますから、そういう趣旨で、現実に三年程度を積まれたもの、私は中にはそういうやり方の方がいいものも一般的にはあると思いますが、適切でないものもあるし、これまでの考え方からして、これまでの解釈からして、そういった扱いについては問題があるという指摘をしたんだと考えております。

茂木委員 

 もう一回申し上げます。

 公益法人等の基金に繰り入れ、多年度にわたって支出することは憲法の趣旨にももとると参議院の本会議でおっしゃられています。小林議員です。この考えに変わりありませんか。確認をさせていただきます。

菅国務大臣 

 今申し上げましたように、私は、国家戦略室で検討していただいておりますけれども、複数年度予算という考え方が望ましいと思っておりますし、そういうことは考え方として可能であろうと思っております。

 ですから、参議院のその質疑の中でどういう趣旨で言われたのか、今私はそのことを聞いておりませんので、それはやはり、質問した方の趣旨が、正確に私はまだ聞いておりませんので、それがいい悪いというところまで申し上げる立場にはありません。

茂木委員 

 菅大臣、私は、一議員のどこかでの発言をとらえて言っているんじゃないんです。参議院の本会議で、採決に当たって、党を代表される方が反対の第一の理由として基金の問題を取り上げられたということでお聞きをしているんです。その基金の問題、どうお考えですか。

仙谷国務大臣 

 今回の補正予算の見直しに当たりましては、私が主としてこの作業を行ったものですから、お答えをさせていただきます。

 憲法上の原則で、単年度予算主義あるいは財政法定主義、もう少しもとへ返れば……(発言する者あり)町村さん、せっかく物を言っているんですから、一々言われると言いたいことを忘れますので、ちょっとお静かに願いたいと思います。

 代表なければ課税なしの原則で、国会あるいは議会というものがあるために、多年度予算よりもさらにこれを拡張して公益法人の基金に三年分をほうり込むというふうなことは、憲法原則からして望ましいことではない、つまり趣旨に反する、そういうことを小林議員が言ったとすれば、それは原則的に正しいと私は思います。

 ただ、それと多年度予算主義を法律で決めるということとはまた次元が違う、こういうふうに考えております。

茂木委員 

 基本的には基金で多年度の支出をすることはよくない、こういうことに受け取れるわけでありますが、ただ、この二次補正を見てみますと、やはり言っていることとやっていることが全く違うんですね。今回の二次補正でも、新たに六つの基金を新政権はつくっていらっしゃいます。そして、既存の八つの基金の予算の積み増しで、全体で一兆七千億円の基金の積み増しを行っているわけであります。

 例えば、省エネカーの補助それからエコポイントの予算、これは三月までのものは一次補正で確保をされています。ですから、それで環境対応車普及促進基金、それからグリーン家電普及促進基金というのを創設して、四月以降のものを積んでいるわけであります。基本方針と実際に二次補正でやられていることが全く違うじゃないですか。

菅国務大臣 

 今、仙谷大臣の方からも答弁がありましたし、私が言っていることも同じなんですけれども、基本的に基金に積むものが適切であるかどうかという議論が確かにあります。

 私も、例えば研究開発のようなものは単年度よりも少し長い方がいいと思いますから、そういうものは二年、三年の基金で積むこともありますし、しかし、そういう意味で、その原則に立って、こういうものは適切だけれども、こういうものは適切でないという意見があることは承知しています。

 今話をされたエコポイント等については、どこまで続けるのかということそのものが景気というものに影響するということもありまして、これからも継続するということも含めて積み増した、私はこのように理解しております。

茂木委員 

 基本的に来年度の基金はよくない、こういうお話をされながら、基金を十四も積む、一兆七千億円、補正の中に入れると。

 しかし、例えばエコポイントもそうです、それから省エネカーも、三月までは予算があるんですから、四月からの予算、本予算で間に合うわけです。基金の事業をやめて、堂々と本予算、それに積まれればいいじゃないですか、来年度だけの分なんですから。そちらが正しいんじゃないですか。

菅国務大臣 

 そうすると、四月一日から確実に施行を、野党の皆さんも約束してくださるんですか。

 つまりは、今申し上げましたように、エコポイントについては継続をするということを国民の皆さんに理解していただくことが、製造する側にとっても、いろいろなものを供給する側にとっても意味があるわけでありまして、そういう景気対策を最も強く主張されたのが自民党じゃないんですか。

 ですから、私たちはそういう景気対策を考えて、四月一日から必ず切れ目なくやれるためには補正予算で組むことが適切だろうという判断のもとに組ませていただきました。

茂木委員 

( パネル資料はこちら )

 それはきちんと本予算の中に組み込めば、国民に対してはメッセージになります。そして、多年度にわたる事業だったらば堂々と基金でやられる、我々はその方が正しいと申し上げてきたんですから、私はそうされるべきだ、そんなふうに思っております。

 今の議論だけでも、やはり鳩山内閣のやられていることは言行不一致が目立つな、こんなふうに考えておるわけです。

 マニフェストの財源、これにつきましても、何度も申し上げてありますので質問はしませんけれども、総理は明らかに、各地の選挙の演説でも、財源はあるんですとマイクを握ってあらゆるところでおっしゃったと思います。七兆一千億、そして最終年度は十六兆八千億の財源をきちんと無駄の排除と予算の組み替えで出される、こういう話でありましたけれども、結局出されたのは二兆三千億じゃないですか。初年度でも三分の一も出されない、今こういった状態であります。

 実は、この言行不一致の問題、二次補正にも明らかに見てとれます。ちょっと図の一、これをごらんいただきたい。配付資料、配ってございます。図の一は、一次補正と二次補正の主要項目、比較をさせていただいております。

 左側が麻生内閣の当時つくりました四月の一次補正予算、そして右側が現内閣の二次補正予算であります。主要項目を見てみると、全く一緒なんですね。雇用対策、そして金融対策としての緊急保証、セーフティーネット貸し付け、それから低炭素革命としましての家電のエコポイント、さらに省エネカーの補助金、そして健康の分野での新型インフルエンザ対策、最後にあります地方への交付金。全く項目が一緒であります。

 我々の一次補正のコピー、そして、一次補正に民主党は大反対をしてきたのに、自分たちが政権をとったらどうして同じことをやられるのですか。総理、お答えください。

菅国務大臣 

 先ほども申し上げましたように、麻生内閣のもとでつくられました一次補正の中には、私たちから見ると、いろいろな施設整備費等箱物のもの、あるいは不要不急のもの、そういうものがいろいろ含まれておりましたので、それでまさに反対したわけであります。そして、政権交代になりましたから、そうした部分については凍結をする。

 しかし、先ほど来言っていますように、例えば人材育成基金等については、考え方は、私たち野党時代から法案まで出してやってほしいということを言ってきたことでありますから、そういうところについてはもちろん踏襲したものもたくさんあります。さらには、より力を入れたものもあります。

 ですから、項目がよく似ているから、それで何かおかしかったと言われるのは、項目が似ているというのは、状況認識は共通であっても、中身が、さっきも言いましたように、相変わらず施設とかそういうコンクリートのものに重点を置くのか、そうでないとかということで歳出の中身が変わっているわけですから、変わったものを出したのは当然のことです。

茂木委員 

 菅大臣、よく内容をごらんになって答弁していただきたいと思うんですけれども、この二次補正、出ている項目……(発言する者あり)ちょっと大臣が聞こえませんから静かにしてください。

 出ている項目で大体三兆円になります。これ以外に、交付金の減少額の補てんが三兆円あります。全体で七兆二千億ですね。七兆二千億のうち、交付税の補てんで三兆円、そしてこの項目は三兆円ですから、基本的にはこれが大半なんですよ。大半の項目で全くコピーじゃないですか。ですから申し上げているんですよ。言っていることが違うじゃないですか。大臣、大臣。

菅国務大臣 

 いや、ですから、項目が似ているからおかしいと言われるのは私には全く理解できないんですよ。

 たしか五千億円ほど施設費等は削減したはずですよ。そういう削減を含めて新たな方向に、いろいろ地方の交付税等も含めて七兆二千億を支出したわけでありますから、もちろん地方の部分は若干性格が違いますけれども、少なくとも中身については、端的に言えばコンクリートの部分を五千億切ってほかのものに振り向けているんですから、全く違っているじゃないですか。

茂木委員 

 大臣、よくお聞きください。総理もよくお聞きください。

 申し上げているのは、七兆二千億のうち三兆円、この地方交付税の減額部分は抜きましょう。そうすると四兆二千億になりますね。この四兆二千億のうち、ここにある項目で大体三兆円いきます。内容も一緒です。四分の三が一緒ということは、大半が一緒ということになるじゃないですか。先ほどの菅大臣の答弁と違うじゃないですか。

菅国務大臣 

 ちょっと私は茂木議員の言われることがよくわからないんですよ。

 例えば、文化予算といっても……(茂木委員「項目を見てください」と呼ぶ)ですから、例えば同じ文化予算といっても、これは一つの例ですよ、そういう文化的な活動を、例えばアニメをつくったり……(茂木委員「そんな話はしていない」と呼ぶ)ちゃんと聞いてください。そういうものに、人を育てるために使う場合の費用もあれば、アニメ館のように建物のコンクリートの塊をつくるものもあれば、項目が同じだからといって中身が同じではないんですよ。まさに中身を変えることが、歳出の中身を変えることがこの政権の一丁目一番地で、それをスタートしたのがこの凍結なんですよ。

茂木委員 

 菅大臣、具体的にいきましょう。

 では、わかりやすい点で申し上げます。二番目の金融、景気対策。

 景気対応緊急保証、緊急保証制度、セーフティーネット貸し付けの延長、そしてエコポイント、それから環境対応車への買いかえ、大きな項目です、それぞれに。違う項目だとおっしゃるんですか。

直嶋国務大臣 

 個別の話が出ましたので、私の方からちょっとお答えさせていただきます。

 まず、この金額ですが、三兆円とおっしゃっているんですが、例えば今お触れになった保証等は資金的な枠ですので、必ずしも同等の比較対象にならないということを申し上げたいと思います。

 それから、今おっしゃったことでいうと、緊急保証と景気対応緊急保証でございますが、これは今の緊急保証制度を内容を改めまして、業種を全業種拡大させていただくということであります。

 それから、セーフティーネット貸し付けについても、内容的には拡充をしているということでありまして、例えば、さっきお話しした景気対応緊急保証制度で申し上げますと、業種を全業種に拡大するということで、例えば医療や介護の法人、これは今まで対象になっていませんでした。いろいろ議論があったところでありますが、今回我々はここも対象に拡大をするということで決めさせていただいています。

 それから、低炭素革命と、我々が言っている環境ということでエコポイント、エコカーの話もありますが、このエコポイント、エコカーは、茂木議員も御存じだと思うんですが、我々が野党時代もこの制度はやるべきだということを景気対策に織り込ませていただきました。

 私、きのう申し上げたように、エコカー制度もエコポイント制度も経済対策として非常に大きな効果を上げていると思うんです。これは当時の与野党も、やるべきだということで意見が一致した部分でありまして、やはりだれが考えても必要な政策というのは効果があるなということを改めて思った次第でございます。

 それから、エコポイントの方は、今回、加えて住宅を対象にさせていただきました。これは、将来、住宅というのはやはり環境対策として非常に重要な視点であります。ややもすると、従来の住宅対策というのは新規住宅に偏りがちなんですが、今回我々は、リフォーム、断熱材とか窓の二重窓化、そういうものも対象にさせていただきました。

 それから、ちょっとここに挙がっていませんが、低炭素革命に必要な、いわゆる技術開発の部分についてもできるだけ織り込ませていただいたということで、内容的にはそういう面で異なるということを申し上げます。

茂木委員 

 住宅版エコポイントという話が出たんですけれども、予算額と住宅一戸当たりの補助額は幾らになりますか。

前原国務大臣 

 予算額は一千億円でございまして、事業費規模は大体三兆四千億円になる。そして、一番マックスのポイントとしては三十万ポイントということでございます。また、リフォームについては、窓の断熱などについては一万八千ポイントを予定しているところでございます。

茂木委員 

 一千億円、そしてマックスで三十万ポイントということは、一ポイント一円ですから三十万円、こういうことになると思うんです。

 私は、住宅版エコポイントが悪いと申し上げるつもりはありません。ただ、家電と住宅は値段が二けた違います。車とも一けた違うわけでありまして、本当にマックス三十万、これでインセンティブになるんだろうか、こういう思いも持っております。やるのならもっと大胆な対策、住宅についても必要だと私は思うし、さらに申し上げると、今、住宅以上に落ち込んでいるのは設備投資なんですよ。例えば、省エネ設備について何らかの形で対策をとる、こういったことも必要なんじゃないかなと思っています。

 先ほど経産大臣の方から、バージョンアップ、こういう話がございました。恐らく、雇用調整助成金、これにつきましても要件の緩和等々されております。ただ、大切なことは、この部分で三千五百億積んでいますね。間違いないですか、大臣。

長妻国務大臣 

 今、雇用調整助成金の話が出ましたので、お答えを申し上げます。

 これについては、要件緩和を実施いたしまして、それは、中小企業のみならず大企業についても要件緩和ということで、これまでは、基本的に前年に比べて売り上げ等が落ち込むということでありましたが、前年というのは、これはリーマン・ショックでもう既に落ち込んでいますので、それより落ち込むというのはなかなかないわけでありますので、前々年に要件を緩和して、それによって新たに、新たにというか、これまで要件緩和しなければ外れてしまうだろう八十万人の方が下支えになるというようなことが一点でございます。

 そして、三千五百億円という数字は、恐らく雇用特別会計に第二次補正で積み増すお金のお話だと思いますけれども、これにつきましても、御存じのように、昨今の厳しい雇用情勢について、それにかんがみて、このお金を予備的に緊急に積み増しをするということであります。

 今の段階で四兆円程度の積立金がございますが、過去も四兆円あった時代がありましたけれども、失業率が上がってそれが急速に減る、こういう過去の事例もございますので、緊急的にそういう意味では積み増しをして、国民の皆様にも安心をしていただく、こういうメッセージを送りたいと思います。

茂木委員 

 雇用調整助成金、私は、要件緩和は結構だ、こんなふうに思っておりますが、三千五百億円積み増しする必要はありません。今、恐らく官僚の皆さんからの答弁書をそのまま読まれたんじゃないかな、こんなふうに思いますけれども、余剰が明らかに、特会の積立金、四千四百億あるんですよ。四千四百億余剰が出ますから、三千五百億積む必要は、今年度、二十一年度については全くありません。

 さらに、要件緩和で本当に年度内に必要になる予算、これはたった七十八億なんですよ。何で三千五百億も積まなくちゃならないのか。もっとしっかり個々の事業について各大臣が検討していただきたい、総理、私はそんなふうに思います。

 別に小沢さんの言葉じゃないんですけれども、ちっとも政治主導になっていないんじゃないかと私は思います。それぞれが、言われたことを、ペーパーを渡されてそのまま答弁する、こういうことではやはり困るな、こんなふうに思います。一々、一つ一つの項目について時間の関係で説明できませんから、ぜひ総理、内閣にもう一度各事業をきちんと検証してもらうようにお願いをしたいと思います。

 それで、次に図の二の方に移らせていただきたい、こんなふうに思います。

 図の二をごらんください。補正の経済効果ということで、二ページ目です、書いてございます。

 左側が、今回の二次補正のベースになりました明日の安心と成長のための緊急経済対策、雇用から始まりまして環境、景気等々、全体で七兆二千億、こういう形でありまして、ある程度の額を積んでいるようには見えるんですね。ところが、右側、これが私が試算をした方でありますけれども、当面の需要創出から見た二次補正の仕分けということでありまして、一つは、右側にありますように当面の需要創出につながりにくい対策、それから二つ目が、エコポイント等々大半が来年四月以降となる事業、そして一番右側が、年度内の実施が可能な対策。

 例えば、左の方の当面の需要創出につながりにくい対策、環境のところでこれが〇・〇七、七百十一億円でありますが、これはアジア・アフリカ向けの環境分野の支援です。これは国内の需要にはつながりません。それから、一番下にあります三兆近くのもの、これは単に交付税の減少額を補てんするだけでありますから、当然、当面の需要創出には関係ない。

 そして、真ん中、大半が来年四月以降となる事業、これを見てみますと、雇用の関係、先ほど申し上げましたように、雇用調整助成金、積立金が余っています。それから、エコポイントや省エネカーの補助、これも一次補正で三月までの予算は確保してございますから、四月以降の対策のための予算ということになります。それから、この後、もしあれでしたら詳しく説明をいたしますが、セーフティーネット貸し付け、緊急保証制度の枠、これも十分余っているところであります。

 そうしますと、年度内の実施が可能な事業、ここは、仮定として、例えば二月の初めから始めて、半年ですべての事業が完了する、そういった場合に年度内の部分を繰り入れる、こういった形でやっておりますけれども、年度内の実施が可能な対策、これはわずか四千億しかない。そして、これは皆さんがお出しになった内閣府の二次補正の経済効果の試算とも一致をいたします。

 総理、これでは、七兆二千億といいながら、張り子のトラ、偽装補正と言われてもしようがないんじゃないですか。

菅国務大臣 

 まず、どうも私、茂木委員の議論のベースがもう一つよくわからないんです。

 皆さん方が出された第一次補正は三兆じゃないんですよね。十四兆でしょう、第一次補正は。私たちが凍結したのは、そのうちの約三兆ですよ。(茂木委員「二兆九千億」と呼ぶ)そうでしょう。約三兆と言ったじゃないですか。つまり、十四兆のうち十一兆は、皆さんが出されて成立した補正予算は執行されているんですよ。何か一次補正が全部凍結されたかのように、もしかしたら誤解をされて伝わっては困りますので。

 ですから、私たちは、十四兆の中で特に、先ほど申し上げたように、中には必要がないのではないか、中には……(発言する者あり)今質問に答えているじゃない。

 中には不要不急のものがあるので、それらについて見直しをしようということで、先ほど来、仙谷大臣からもあったように、そういうことをやったわけです。

 その中で、先ほど、いろいろ重なりますから言いませんけれども、少なくとも、それは見解の若干の差はあるかもしれないけれども、例えばエコポイントにしても、三月末で切れるのか四月一日から続くのかはっきりしないといろいろな生産の計画も立てにくいとか、いろいろな可能性もあるものですから、私たちとしては、これは補正で積んだ方がいいだろう。

 先ほど雇用調整金のことも言われましたけれども、それはもとがあることは先ほど長妻大臣も認められました。しかし、急激に減っている中では、ここにも積み増しておいた方がいいだろう、安心感としてはいいだろう、長期的な見通しが立つだろう、そういうことを言ってきているわけでありまして、何かこの中で、私はそういった景気の効果、経済に対する効果は、全体としては十分にこの第二次補正が意味を持っているし、だからこそ一日も早く成立をさせてもらいたいと申し上げているのです。

茂木委員 

 なかなか菅大臣、真っ当にまじめな質問にお答えいただけないようであります。

 私が申し上げているのは、当面の景気効果、四千億しかないではないか、どうなんですかということを申し上げています。

 それだったらば、もっとはっきり申し上げましょう。一次補正の凍結と執行停止まで、四カ月以上おくれる二次補正の追加、一次補正の一部の凍結で結構です。では、当面の景気にどんな影響があるか。政府の試算が出されております。

 今年度、この三月まで、まさに一番景気が厳しいこの年度末を迎える三月までの状況でどうなるかということでありますけれども、政府の試算で、実質GDPベースでマイナスの〇・一%、名目実額ベースで五千億円のマイナス。政府がそういうふうに出しているんですよ。

 つまり、年度末に向けてこの一番厳しい時期に、今の政府は景気についてマイナスになる対応をしてしまったんですよ。そういうことでしょう。

菅国務大臣 

 数字を今、茂木委員が言われましたけれども、数字は確かに、現在の緊急経済対策の今年度に与えるプラス効果は〇・一%、来年度を含めていえば全体で〇・七%です。一次補正の見直しで今年度に与える影響はマイナスの〇・二%ですから、おっしゃるとおり、今年度に与える影響だけを考えれば、この部分だけいえばマイナスの〇・一%であるということは、その数字そのものを別に否定するつもりはありません。

 しかし、先ほど来申し上げていますように、例えば、前原大臣を中心に、根本的にコンクリートから人へということを補正予算の見直しから含めて始めたことは、大きな意味の日本の景気、経済にとっては、これから変わるんだなという、私は国民に大きなメッセージを与えたと思うんですよ。

 つまり、これまでのままのやり方で、これまでのままの公共事業偏重のやり方で経済がうまくいっていたのなら、これまでどおりやりましょうで結構ですよ。しかし、もう二十年近く、多少の上下はありますけれども、成長がとまっているんですよ。その成長がとまった最大の原因は、投資効果もない九十七にも至るような飛行場をたくさんつくったり、釣り堀にしかできないようなそういう港湾をつくったり、そういうことを変えていく第一歩がこの補正予算の見直しであったわけですから、私は大きな意味の経済効果は間違いなくあった、このように考えています。

茂木委員 

 随分興奮をされて強弁をされているようなんですけれども、景気の現場、経済の現場は本当に大変なんですよ、この年度末を迎えて。

 そういった中で、今、鳩山内閣が、少なくともこの年度末までにとられた対策、一次補正の二兆九千億の執行停止、そして二次補正、これは当面の景気対策については、政府の数字だけじゃないです、実際にそうなんです、マイナスが出ている。そこがまさに鳩山政権の現状認識に対する甘さ、そして危機感のなさ、そしてそれがまさに鳩山不況、こういうふうに言われるところじゃないか。

 二次補正を早く出してくださいと言っているのに出さずに、今ごろになって二次補正を出して、一日も早い二次補正の成立が景気対策だと言うこと自体が、経済の現場から見ればピント外れだ、こういうことに私はなるんだ、そんなふうに思っているところであります。

 もう一点、先ほどの中小企業の金融に関します緊急保証制度とセーフティーネットの関係について見てみたいと思います。図の三をごらんください。

 図の三、左側に「セーフティーネット貸付」、そして右側に「緊急保証制度」と書いてございます。二つのラインがありますが、上の方のラインが貸し付けの枠です。そして下の折れ線の方が貸し付けの実績、そして保証の実績、こういう形になります。

 御案内のとおり、一次補正で、セーフティーネットでいきますと枠を十六兆六千億まで拡大いたしました。そして、昨年の四月段階で二兆三千億だった貸し出しが、ことしの一月、これは十八日の数字ですけれども、八兆六千億まで伸びてきておりますが、消化したのは六兆三千億。まだ未消化分が余っております、八兆近く。また、緊急保証制度でいいましても、一次補正で枠を三十兆円に拡大いたしまして、消化したのが昨年の四月から七兆円分。そして十三兆円分がまだ残っている。つまり、枠は十分余っているんです。

 今回、セーフティーネット貸し付けについて四兆三千億であったりとか、緊急保証について六兆、総枠を拡大することは私は余り意味がないんじゃないかな、こんなふうに思っております。

 では、今必要なのは何かということでありますと、二点あります。例えば緊急保証制度でいいますと、一社当たりの枠なんですよ。総枠で二十兆、三十兆じゃなくて、一社当たりの枠が今は八千万円ですから、これを二億円まで広げる。それからもう一つは、保証の条件緩和。なかなか今、中小企業の皆さんから見ても、実際に保証協会に行っても保証が受けにくい、恐らくこういう話をたくさん与党の皆さんも聞かれていると思います。この条件緩和をする。

 政府サイドでは何をするか。これは、事故率を今一二%で想定していると思いますが、この一二%を思い切って事故率二〇%ぐらいまで上げる。

 こういう、総枠の拡大ではなくて、中小企業の資金繰りを改善するためには、各社当たりの枠の拡大、これが必要なんじゃないかなと思いますけれども、亀井大臣、どうですか。

亀井国務大臣 

 茂木議員が中小零細企業に対しての現在の厳しい状況を踏まえての熱い思いを野党という立場でお話しいただいたことに対しては敬意を表する次第でありますけれども、政府としては、私ども金融庁の金融行政の立場だけではなくて、経済産業省と一体となってこの今の窮状を打開するための諸施策を講じておるわけでありますが、議員御指摘の信用保証協会の役割というのが極めて重大でありますので、それについて政府としてやはり万全の立場をとっておるということを予算の上においても明確にしていくことは極めて実際の運用面においても大事である、このように考えています。

茂木委員 

 亀井大臣、残念です。大臣だったら、茂木さん、やろうじゃないか、与野党を超えてこういう中小企業の資金繰り対策のための条件緩和をやろうじゃないか、こういうお話をいただけるんじゃないかな、そんなふうに……。

 総理、鳩山総理、これは鳩山総理が決断をすれば決められます。中小企業の資金繰り緩和のために、今申し上げたように、一社当たりの枠を八千万円から二億円に拡大する、総理が決めればできることです。中小企業は助かります。総理、いかがですか。

直嶋国務大臣 

 今、亀井大臣からもございましたが、この表、確かに、茂木さんおっしゃるように、この枠でやれないかというのを実は我々も検討しました。しかし、きのうもちょっと御答弁で申し上げたように、一万五千以上の倒産が、こういう状況ですから……(茂木委員「一社当たりの話をしているんです、そっちに答えてください」と呼ぶ)

 それで、一社当たりだとか、その条件については我々も不断に研究はしたいと思っています。ただ、これまでも一社当たりの枠でありますとかについても拡大をしてきたという経緯がありますので、そういうことも含めて、さまざまな状況を勘案して不断に研究はしたい、このように思っています。

鳩山内閣総理大臣 

 私も、昨年の末、大田区の中小企業の方々とお会いをしてまいりました。こういう厳しいときにむしろ設備投資をやりたい、しかしどうも使い勝手が悪いな、額もという話も伺っております。運転資金もいろいろ必要なときがあろうかと思います。

 したがって、今まさに亀井大臣も答弁されましたけれども、こういうときに、せっかく枠がかなり広がっている中で、中小企業の皆様方、年末年始大変苦しい操業をされておられる方がたくさんおられる、アジアを市場にしてこれからさらにと意欲を持たれている方もかなりおられる、そういう方々のために、私どもとして、今、茂木委員がせっかくお尋ねされたものですから、その提案を真剣に検討したい、そのように思います。

茂木委員 

 実際に今、八千万円の枠、柔軟には運用しております。

 ただ、これを広げることは可能なんです。これをきちんと、やはり総理が明言をしていただく、国民に向けて、本当に年末厳しい資金繰りをされている中小企業の皆さんに向けて、今この場で、枠は、一社当たりの枠は拡大します。総理だったら決断できるんですからしてくださいよ。

鳩山内閣総理大臣 

 すべて私一人で何事もできるという話ではありません。したがって、今の茂木委員の大変な御提示を、私は中小企業の皆様方の切実な思いを理解いたしておりますから、十分に検討させていただくことをお約束いたします。

茂木委員 

 そこの部分ではっきりおっしゃっていただけない、その部分が、国民の皆さんから見ても、残念ながら世論調査でも出ておりますけれども、リーダーシップがない、こういうところに出てくるんではないかな、こんなふうに私は感じております。

 そこで、鳩山内閣の政権運営の問題点、こっちに入りたいと思うんですけれども、外交面でも、この後質問がありますけれども、安全保障政策をどうするか、こういう基本がないままに、個別の基地問題について迷走して、日米関係も深刻化をする。予算編成でも全く同じだ、私はこんなふうに思っております。

 本来、予算編成の前に今後の成長戦略であったりとか財政の中期展望が示されて、成長戦略や財政の中期展望も含めて国会で本当に充実した予算審議が行われるべきだ、そんなふうに思っております。今後の成長戦略であったりとか財政の中期展望が示されないこと自体、鳩山内閣が経済財政の基本方針を持っていないんじゃないか、こう言われても私は仕方ないのではないかなと思います。

 確かに、年末、十二月の三十日に駆け込みで成長戦略の基本方針が発表されたわけでありますけれども、これを見てみますと、十年後の単なる数値目標だけなんですね。工程表がない、そして具体策がない、税財政の見通しがない。とても戦略とは呼べない、欠陥商品と言わざるを得ないんだと思います。

 それも、この成長戦略の担当、これも菅副総理なのか、それとも仙谷大臣なのかもわかりません。どちらが担当するかも含めてお答えください。

菅国務大臣 

 まず、成長戦略を先に出して、あるいは中期財政フレームを先に出して予算編成に当たるべきではなかったかという御指摘ですが、昨年の選挙が年の早いうちにあれば、それも当然そうすべきだったと私も思っております。

 しかし、結果として、解散をされ選挙が行われたのが八月の三十日。翌日が概算要求の締め切りという日程に少なくとも麻生内閣ではなっておりました。その時点で、私たちとしては、年内編成こそが、やはりこの経済の状況を見たときにはどうしてもそれは必要なことだと考えましたので、そうしますと、実際に特別国会を召集されたのは麻生総理ですから、九月の十六日に首班指名、組閣になったわけであります。

 年内に、三カ月半という中で例えば成長戦略を立て、中期展望を立てれば、とても年内編成ということには、常識的に考えても間に合わないわけですから、そういう意味で、まさに並行して作業を進める中で、年内編成をまず、十二月十五日にきちんと閣議決定ができたということは、私は、国民の皆さんには評価をいただいている、このように思っております。

 それに加えて、ここに新成長戦略の基本方針という概略のもの、あるいはお手元にもあるかもしれません、確かに、総理の方から指示を受けてこれをまとめるまで直接的にかかった時間は二週間余りでありました。しかし、実は、直嶋大臣あるいは前原大臣あるいは原口大臣、各大臣とも早い段階から各省内において成長戦略を検討するいろいろな会議を開いておられまして、そういうものを一挙にまとめるということで、当時私が責任を持っておりました国家戦略室がいわば取りまとめの窓口になって取りまとめたものであります。

 中身がどうかという評価はいろいろありますけれども、私は、例えば、日本が得意とする環境・エネルギーという分野、そして健康という分野、それぞれグリーンイノベーション、ライフイノベーションと位置づけました。また、フロンティアの分野として、アジアの成長、そして観光とか地域の活性化、さらにそれを支えるための科学・技術、さらには雇用・人材、私は、余り手前褒めをしても仕方ありませんけれども、比較的短期間の中では、各大臣があらかじめ用意されたこともあって、相当中身の濃いものになった、このように思っております。

 その上で、一番大きな問題は何かというと、これまで政権が、この十年で出されたこういう政策は十本以上を超えています。骨太方針とかいろいろなものがありました。全部精査をいたしました。一つとして達成されたものはありません。なぜ達成されていないかということを分析しました。一言で言えば、政治的なリーダーシップに欠けていたからです。

 今笑っておられる皆さんが胸に手を当ててみてください。多分、小泉さんは若いからおわかりだと思いますが、つまりは、縦割り構造の中で、茂木さんも知っているでしょう、例えばコンピューターと通信を一緒にしようとして一緒にできなかった橋本政権における省庁再編だって、結局のところは縦割り構造の中で超えられなかったんですよ。

 ですから、縦割り構造と族議員のこれまでの政権では、幾ら中身が、文章上は私たちと同じようなものを以前出されたとしても、実行できなかった最大の理由は、私は、霞が関の縦割りとそれにつながる族議員、その構造、そういう意味で政治的なリーダーシップがなかったと言っているんですよ。

 この政権交代はそういうものを壊していく力を持っている、そういう意味で鳩山総理のもとでこれを実行することができるという自信を持ってお示しをしたところであります。

茂木委員 

 過去の成長戦略が余りうまくいかなかったという指摘で、内容についても精査をされたということですけれども、組織論は別にしまして、政策の内容については過去のものはよかったんですか、悪かったんですか。

菅国務大臣 

 過去のものの中でも共通なものはかなりありました。もちろん、環境の問題とか、ウエートの出し方は違いますが、ありました。しかし、今申し上げたように、過去において出されたものもたくさんいいものはありましたが、結果としては実現しておりません。

 茂木さんが、もしそれが別の理由があると言うんだったら、逆に、私はそこに問題があったんじゃないか。中身が、たとえ文章上よくても、できるかできないかが一番問題なんですから。通信と情報の一元化だってできませんでした。あるいは、幼保一元化だってできませんでした。いろいろなことができていないんですよ。それは茂木さんが一番、日本新党におられたころからよくわかっているはずじゃないですか。

茂木委員 

 政策の中身から入っていきます。図の四をごらんください。中身が、ほぼじゃなくて、全く一緒なんですよ。

 図の四をごらんください。左側が我々がつくった未来開拓戦略です、昨年の四月。そして右側に新成長戦略、今回のものであります。これを比べていただきますと、低炭素革命、これが環境・エネルギーになっている。そして、健康長寿(医療・介護、少子化対策)が、新成長戦略では健康(医療・介護)になっております。アジアそしてまた人材、項目は一緒じゃないですか。違いは、中身が半分になったぐらいですよ。それから、後世への遺産、こういう項目だけなくなっています。恐らく、民主党の政策を進めると後世への遺産じゃなくて後世への負担になる、こういうことで書けなかったのかもしれませんけれども、結局一緒じゃないですか。全く内容は一緒じゃないですか。

 内容について申し上げているので、お答えください。

菅国務大臣 

 例えば一番大きな項目で申し上げると、麻生総理がCO2二五%削減を言われましたか。確かに低炭素とは書いてありますよ。しかし、鳩山総理は二五%削減という大きな目標を掲げられたんですよ。

 ですから、低炭素革命と書いてあれば、民主党が言う新成長戦略の環境・エネルギーと同じだと言ったって、中身は全然違うんですよ。先ほどの議論もそうでしたけれども、見出しが同じだからといって、必ずしも同じではないんです。確かに部分的には共通のものがあることは認めました。しかし、そういうことに対してある方向性を出して、それを引っ張っていくことができなかった結果がこの二十年間の低迷を招いた責任は、皆さん方に主にあるんじゃないですか。

茂木委員 

 見出しは一緒だけれども中身は違うんだ、中身をよくごらんください、こういう話がございました。

 ここに我々がつくった未来開拓戦略、それから新成長戦略、これがございます。全部は比較できません。ちょっと、今申し上げた低炭素革命というか環境の分野で申し上げます。

 パッケージの中身を見てみますと、例えば環境・エネルギーの分野、我々の未来開拓戦略では五ページに低炭素革命としてこう書いてあります。「こうした一連のプロジェクトにより、低炭素革命の先導者となり、世界の範となる環境大国日本を実現する。」こういう形で結んでございます。

 その一方、現政権の新成長戦略ではグリーンイノベーションとして六ページに、したがって、グリーンイノベーションの促進や総合的なパッケージによって、我が国のトップレベルの環境技術を普及促進し、世界ナンバーワンの環境・エネルギー大国を目指す、こういうふうに書いてあるんですよ。

 プロジェクトがパッケージになり、低炭素革命がグリーンイノベーションになり、先導者が世界ナンバーワンになり、環境大国日本が環境・エネルギー大国になっただけで、内容も全く一緒じゃないですか。官僚任せでつくるからこういうことになるんじゃないですか。

仙谷国務大臣 

 菅副総理とともにこの成長戦略をこれからつくり、そして実施をしなければならない立場として、茂木先生にお願いもしたいと思うんです。つまり、二〇〇〇年以降の、なぜこんなていたらくになったのか。

 文字面はすばらしかったかもわからない、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二、日本二十一世紀ビジョン、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇五、新経済成長戦略、経済成長戦略大綱改定、経済成長戦略、未来開拓戦略、すべて立派なものをお出しになっているんですね。それなりに文字面はできが悪いとは私も思いません。

 ただ、名目成長率で申し上げても、名目GDPの実額でいっても、この二〇〇九年の七―九までということは、計算してみますと、これは、麻生内閣が担当したところまでの名目のGDPが四百七十兆まで落ち込んでいるじゃないですか。これは二〇〇〇年から考えても、この十年間の経済財政運営の責任は、もちろん自民党さんと公明党さんの連立政権の経済財政運営の結果、こんな立派な戦略を文字面書いたのになぜ四百七十兆まで名目GDPが落ちてきたのか、このことを私どもは皆さん方と一緒に本当に真摯に反省しなければいけないと思うんですよ。ということは、戦略設定も非常に大事なんだけれども、この執行がより重要だ、こういうことだと私は思うんですね。

 私が行政刷新会議という担当の大臣に立たせていただいて、やはりこれはなぜできなかったのかと。つまり、戦略として書かれているようなことの個別の項目も全体も、知識経済化にふさわしいような産業構造にふさわしい政策展開がなぜできなかったのかということをやはり真摯に反省してみる。

 そして、なぜなのかということを、例えば規制改革会議あるいは市場化テスト何とか委員とひざを接してお話を聞きますと、仙谷さん、やはり一年ごとに総理がかわり、そして総理がかわるたびにエネルギーが落ちるんです、政治のエネルギーが落ちて、族議員が出てきて、選挙があるとおっしゃって、結局はできなかったんですというふうな話が大変多うございます。

 つまり、縦割り、補助金、天下りの構造を俯瞰的な立場からどんとなくす、そういう実行力がなければならない、こういうことだと私は思います。

茂木委員 

 いろいろ立派なことをおっしゃっているようにも聞こえるんですが、例えば現政権が盛んに強調されているディマンドサイドの家計への直接支援、この新成長戦略を見てみますと、この新成長戦略は全体で二十九ページございます。ところが、家計への直接支援、この問題は、後ろの方に本当につけ足し程度で四行しか出てこないんですよ。ディマンドサイドなんだ、サプライサイドからディマンドサイドへ変わる、新しいことをやる、こういうふうに言いながら、たった四行しか出てこない。本当に総理を初め政治家の皆さんが手を入れてつくられた新成長戦略なのか、こういうことに疑問を持つから私は質問させていただいている。

 これは、新成長戦略、どの国民も、やはり今成長しなければ、こういう大きな期待を持っているわけですから、しっかりこの後つくっていただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 ディマンドサイドというわけでありますけれども、実態を見ると、これは残念ながら分配の話であります。しかし、実際には分配の前に、技術革新であったりとか生産性の向上、そして投資の拡大などによります経済のパイの拡大がなければならない。経済のパイの拡大、これが雇用や所得の増加につながるという経済の成長、これが本当のディマンドも生んでいくんだ、ぜひこのことを理解していただきたいと思うんですよ。今の経済を前提にした分配ではなくて、イノベーションであったりとか産業構造の高度化によってこそサプライサイドもディマンドサイドも変わる、こういう発想が私は必要なんだと思います。

 さらに申し上げると、需要創出効果ということを言えば、例えば百万円の支出をするとします。話をわかりやすくするために乗数効果は一緒、こういうことにしますと、この百万円の支出は、政府がしても、それから民間がしても経済効果は一緒ということになります。ところが、家計への直接給付を行った場合、もし半分が貯蓄に回ったら、経済効果は半減してしまうわけです。単純な話なんですよ。

 やはり鳩山政権は、予算について、支出の経済効果ということよりも、言ってみると支出の短期的な国民受け、さらに言うと選挙効果、こういうふうに優先順位が間違っているんじゃないかな、こんなふうに私は思うわけであります。この優先順位の間違いというのが次の世代に大きな未来ではなくていかに大きな負担をもたらすか、こういう議論をしっかりこの予算委員会の中でもしていかなきゃいけない。

 これに関連してお聞きしたいんですけれども、国債の発行額、上限を四十四兆円ということでありますけれども、この根拠は、総理、何なんでしょうか。

菅国務大臣 

 今、茂木さんが言われたことは、この成長戦略というものの理解がかなり間違っていると思いますので、若干説明を申し上げます。

 つまり、なるべく短い時間で言いますが……(茂木委員「もう時間がないんですけれども」と呼ぶ)ですから、なるべく短い時間で言いますが、まずは、八〇年代以降の公共事業が投資効果が薄かったということは多分認められると思います。(茂木委員「乗数効果は減っている」と呼ぶ)ですから、投資効果が低かったから、都市と農村の格差の是正にはつながったけれども、残念ながらそれが大きな成長にはつながらなかったわけです。

 そして、二〇〇〇年代のいわゆる小泉・竹中路線というのは、どちらかといえば、デフレ状態の中で、企業の生産性を高めれば全部うまくいくと言ったんですが、一企業にとってはそれが正しい戦略だけれども、日本全体からすると、ある企業は効率化するけれども、リストラされて失業者がどんどんふえたのでは、マクロ的に見たらプラスにならないという第二の道の失敗を指摘したんです。

 そこで、私たちは、需要というものを中心に、いかにして需要を拡大するか。私は、需要を拡大すれば今の日本の企業は十分に供給する能力があると思っています。

 需要を拡大する道として、大きく言えば二つあります。新しいものをつくる。例えば、携帯電話は二十年前はありませんでした。そういう意味で、新しい供給が新しい需要をつくる分野もあります。しかし同時に、介護とか医療のように、潜在的需要はあるんだけれども、ちゃんとした人がつけていない、負担の問題がある。あるいは観光のように、潜在的には需要があるんだけれども、休みが固定しているからできていない。

 こういうことについて柱に立てて言っているのであって、決して、配分の政策だけがここに書いてあるなんというのは、まさにさっき言われたように、配分の政策が少な過ぎると直前に言ったんじゃないですか。ですから支離滅裂なんです、言っていることが。

 そういう中で、四十四兆円の国債についてのお尋ねがありました。

 これもよく茂木さんはおわかりのように、今年度の当初予算で三十三兆円、一次補正で四十四兆円なんです。しかし、それに加えて九兆円の財政の、つまり税収の見積もりが、この見積もりは麻生内閣の見積もりですよ、見積もりが九兆円下がったんです。それを穴埋めすることによって、実質上、今年度の五十三兆の国債が発行されるわけです。

 ですから、私たちとしては、来年度の予算を考えるときに、マーケットの信認と同時に景気に対してのプラス的な効果も、ぎりぎりその狭い道を考えた中で、マーケットの信認という点では約四十四兆という線がぎりぎりではないかということで、それを守った予算案をつくったということがこの実際の姿であるということを申し上げておきます。

茂木委員 

 当初予算の国債の発行枠ということでいえば、当然、平成二十一年度の当初予算の発行枠と比べるのが私は自然な姿だと、三十三兆円ということになります。しかし、リーマン・ショック以降の大きな景気の落ち込みの中で、十一兆円分は加えたわけであります。そして、税収の落ち込みということでいいますと九兆円ですから、十一兆円にはなってきません。なかなか四十四兆円の確たる根拠はないのではないかな、私はこんなふうに思うんです。

 ただ、そこのところは時間の関係で押し問答になりますので、総理に一点確認したいと思うんですけれども、来年度の事業実施に伴う国債の発行額の上限。つまり、補正があるかどうかはわかりません、その話はしません、今の段階で考えている国債発行の上限は四十四兆三千億ということでよろしいんですか、総理。

鳩山内閣総理大臣 

 そのとおりでありまして、私ども、今、菅副総理から、財務大臣からお話がありましたように、四十四兆三千億、決してこれは小さい額ではありません。しかし、御案内のとおりのリーマン以降の経済の状況を見定める、それとともに財政の規律というものも考えていかなきゃならない、その中で結論を出した数字でありまして、それを守るように最大限努力いたします。

茂木委員 

 総理、もう一度確認をさせていただきます。

 私が申し上げたのは、来年度の事業の実施に伴う国債の発行額、これは四十四兆三千億円でよろしいか、丁寧に、もう一回確認させてもらいます。

菅国務大臣 

 ちょっと、国債発行が四十四兆円を超えないかという御質問なんですね。そういう……(茂木委員「違う違う。今の質問に答えてください。ちゃんと答えてください、今二回も質問したんだから。だったら答弁なんか立たないでくださいよ」と呼ぶ)だから、四十四兆円の趣旨については、総理も言われたし、私からも言いました。ですから、その四十四兆円という答えではまずいんですか。

茂木委員 

 私が申し上げたのは、来年度の事業の実施に伴う国債発行額、これは四十四兆三千億を超えるんじゃないですかという話です。

 二次補正の財源として、御案内のとおり九兆三千億円の国債が発行されるわけであります。そして、この質問の冒頭にも指摘をさせていただいたように、ここの中で、基金だけでも一兆七千億円、事業でいいますと大体三兆円分の事業は来年度の事業のための国債の前倒し発行なんですよ。前倒し発行なんです、一兆七千億、それから三兆。そうなると、結局、今の段階でも、来年度の事業をやるための国債、これは四十四兆じゃなくて四十六兆、四十七兆になるじゃないですか。これがまさに朝三暮四じゃないですか。

菅国務大臣 

 やっと質問の意味がわかりました。

 確かに、ある種の予備費という形、あるいはある種の枠を、さらにプラス一兆円とっていることは事実であります。ですから、そういう意味では、来年度、これはだから補正予算じゃありません、来年度の予算の数字に加えてもう一兆円の、いわゆる後年度負担といいましょうか、そういうものが準備されている。つまり、そこまでは使える仕組みになっているということはそのとおりです。

茂木委員 

 私の趣旨はわかっていらっしゃらないと思います。少なくとも、国債の発行額については四十四兆三千億は守れない、こういうふうに受け取らざるを得ない。

 本当に、将来に対する責任感、こういったものが残念ながら感じられません。来年度の国、地方を合わせた長期の債務残高、八百六十二兆円になっていく。日本のGDPの一八一%に達する。公債の利払いだけでも年九兆八千億円、一日にして二百六十七億円、これだけの利払いをしていかなきゃならない。

 こういった中で、赤字国債、これは収束のシナリオではなくて発散のシナリオに向かっていくんじゃないかな。長期金利も上昇する、そうなれば、当然利払いの負担もふえます。それから、多くの国民の皆さんにとっては、住宅ローンの支払い、これもふえていくわけであります。

 一日も早く、ぜひ、いつになったらプライマリーバランスを黒字化するのか、そして財政再建のシナリオを出せるのか、こういうことをはっきりさせていただきたい、私はこんなふうに思っているところであります。

 経済界では、今、政権交代が景気後退につながっている、こんな話もあるわけであります。きょうの議論を聞いても、多くの皆さんが、鳩山政権では残念ながら景気回復は期待できないのではないかな、こう思われた方が多いのではないかなと思っております。

 本日の質疑を通じて、冒頭申し上げた鳩山政権の四つの問題点、欠陥、私は、すべてがパーフェクトと言うつもりはありませんが、明らかになってきたと思います。現状認識が甘い、そして危機意識がない。さらには言行不一致、まさに朝三暮四のごまかし、こういうことになっている。そして総理のリーダーシップ、これが、きょうの答弁を見ても、総理と言ってもなかなかお答えいただけない、中小企業のために総理が決断できるんだからと言ってもなかなか決断をしていただけない、こういう形になっております。そして、一時のばらまきばかりで、将来へどう投資していくのか、将来の世代に対してどういう責任を持っていくのか、こういう責任感、こういったものが感じられません。

 今後の予算審議を通じまして、問題点をさらに私は掘り下げさせていただいて、我々としても、抜本的な見直し、こういったことを求めていきたい、こんなふうに思っております。

 以上、質問を終わらせていただきます。