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茂木経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

平成25年12月6日(金)
9:15~9:36
於:記者会見室

(冒頭発言)

 

【経済対策】

 私から冒頭2点申し上げます。
 まず、1点目が昨日決定されました総額5.5兆円規模の新たな経済対策でありますが、「経済の好循環」の実現に向けて、経済産業省としても全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 今回の対策に盛り込まれました当省関係の主な内容、何点か紹介をさせていただきますと、まずは福島を初め東日本大震災の被災地の復旧、復興の加速の関係であります。被災地への企業立地を進めるための商業機能の整備など、当省関連で1,000億以上の予算を確保し、これらを通じ福島の再生、被災地の産業復興を加速していきたいと考えております。
 2点目として、競争力の強化に向け設備投資を促進してまいります。このために、平成24年度措置をいたしましたものづくり補助金1,007億円をバージョンアップいたしまして、新ものづくり補助金という形で拡充を行いまして、前回を上回ります1,400億円程度を措置いたします。
 対象も商業、サービス業にも拡大し、さらには前回1万社でありましたが、今回1万1,000社を超える中小企業、小規模事業者の試作品開発などを支援していく予定であります。また、一昨日成立いたしました産業競争力強化法によりますリース方式を活用した先端設備投資支援策など、設備投資を支援していく予定であります。
 3点目はエネルギーの関係でありますが、エネルギーコスト対策を加速する、具体的には500億円程度の予算を措置して、工場や家庭における省エネ投資を促進いたします。また、福島第一原発の廃炉汚染水対策を加速するため、480億円程度措置することといたしました。
 そして、4点目でありますが、地域を支える中小企業、小規模事業者の支援策を強化いたします。例えば、昨日発表された経営者保証に関するガイドライン、これは経営者個人の保証に依存してきた従来の融資慣行を改める画期的な内容であると考えております。来年の2月からの実際の運用開始に向け、金融庁と連携し、融資現場の対応を現実に変えていく、これによって創業の機運、そして再チャレンジの機運を高めていきたいと考えております。また、事業規模10兆円超の金融支援によりまして、資金繰り対策に万全を期してまいります。これらを実施していく上で、補助金等の申請書類、原則3枚以内という形にしまして、利便性を格段に向上していきたいと考えているところであります。
 今回の経済対策とあわせて、10月に決めました大胆な投資減税、そして賃上げを実行した中小企業に対する資金繰り支援の金利優遇策等の実施、更には産業競争力強化法の施行、引き続き成長戦略をスピード感を持って実現、実行していきたいと考えているところであります。

 

 

【エネルギー基本計画】
 2点目であります。
 今日、第12回の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会が開かれる予定でありまして、エネルギーの基本計画の原案について、御議論をいただく予定であります。今年の3月に基本政策分科会がスタートいたしまして、15回の議論を重ねていただきました。
 委員の間では、各エネルギー源の特徴を踏まえて、実現可能かつバランスのとれたエネルギー需給構造の実現を目指すべきとの認識が共有をされております。
 そして、その中で大きく2点、一つは各エネルギー源の強みが生き、全体として弱みが補完される、こういった現実的かつ多層的な供給構造を実現していく。
 2点目に多様な主体が参加し、多様な選択肢が用意をされる、より柔軟かつ効率的なエネルギー需給構造を創出していく、こういったことを目指して、政策を取りまとめる議論をしていただいていると承知をいたしております。
 その中で原子力についてでありますが、安定供給、コスト低減、温暖化対策の観点から、安全性の確保、これはもちろん大前提としつつ、引き続き活用していくべき重要なベース電源と位置づける方向で議論が行われていると承知をいたしております。
 また、最終処分の問題でありますが、最終処分問題を国が前面に出て解決すべく、最終処分地選定の新たなスキームを構築していく、このプロセスを加速していく、こういったことも書き込んでいただくことになるのではないかと思っております。
 更に、天然ガスにつきましては、シェール革命により競争的価格が実現しつつあり、今後役割を拡大していく重要なエネルギー源と位置付けます。
 そして、前回の基本計画においてネガティブな位置づけでありました石炭につきまして、安全性、経済性に優れたベース電源であり、環境負荷を軽減しつつ、高効率火力発電の利用等で活用していくエネルギー源、このような位置づけにすべく議論を進めていただいていると考えております。
 このエネルギーの基本計画、振り返ってみますと、前回の民主党政権のもとでは2010年6月に決定された計画が現行のエネルギー基本計画ということになるわけでありますけれども、これは2020年に二酸化炭素排出量を90年比で25%削減する、こういう非現実的な目標のもとに、原発依存度を50%超にするというものでありました。
 一方、東日本大震災、そして原発の事故が起こると、180度転換いたしまして、根拠なく2030年代に原発ゼロを掲げた現実性のない戦略であります革新的エネルギー・環境戦略がまとめられた。
 私としては、これまでのこういった混乱したエネルギー政策を建て直すために、今回のエネルギー基本計画は、実現可能かつバランスのとれた責任ある計画としてまとめられることが必要だと考えており、分科会でそういった方向の議論を進めていただいておりまして、その結果に期待をしたいと思っているところであります。
 エネルギー基本計画の分科会の意見につきましては、今日の議論も踏まえて、12月の中旬に取りまとめられる予定でありますが、その後パブリックコメントなどを経まして、1月中に新しいエネルギー基本計画を閣議決定したいと考えております。
 私からは以上です。

 

 

(質疑応答)

 

【車体課税】
Q: まず、幹事社の方から質問の1点目は、車体課税について伺いたいのですけれども、税制改正に向けた議論の中で、総務省は軽自動車税について引き上げるという案を示していますが、これについて大臣の考えを伺いたいというのと、またほかにも議論の論点としては、自動車取得税について、消費税が8%に引き上げられた段階での対応でありますとか、10%に引き上げられた段階での対応、それとか自動車取得重量税についての議論というのも出ていますけれども、これらについての大臣の考えもあわせて伺えないでしょうか。

 

A: 今、党の税調において審議が続いており、その議論を今見守っているところでありますけれども、車体課税について2点申し上げると、一つはシンプルかつユーザー負担の軽減になることが重要だと考えております。更には、地方の財源の問題もありますが、地方の財源を全て車体課税の中で解決すると、こういうことには大きな問題があると考えております。
 経済産業省としては、引き続き平成25年度税制改正大綱、そして10月の与党税制大綱を踏まえて、消費税8%段階での自動車取得税の3%引き下げ、そして10%段階での廃止、エコカー減税の拡充等を求めていくことといたしております。平成26年度においては、自動車取得税の3%引き下げ、更にはエコカー減税の拡充などで2,500億円の減税を要望しているところであります。
 また、軽自動車につきましては、特に地方においては通勤通学や買い物に欠かすことのできない日常生活の足として活用されていることから、軽自動車税についてはユーザーに追加的な負担が課されないよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
 一方では軽自動車の税を安くすると、一方では他の税を高くするというのではなく、きちんとした案をつくることが大事なのではないか、その案というのはシンプルかつ全体としてのユーザー負担が少なくなるものが望ましいと考えております。

 

 

【エネルギー基本計画】
Q: 先ほど大臣の方からもお話がありましたが、エネルギー基本計画のことについて伺いたいのですけれども、今日の分科会の中で示される素案では、原発の新設とか増設などについては盛り込まれないという方向で調整が進められているという話もありますけれども、前の政権では新設、増設は行わないというふうにしていた中で、新設、増設についての大臣の考えでありますとか、あるいは今回の素案では重要なベース電源というふうに位置づけるというような話ですけれども、原子力発電はエネルギー政策全体の中で、どういうふうにあるべきかというような考えを伺えないでしょうか。

 

A: 前の政権、申し上げたように現行のエネルギー基本計画では50%以上なのです。それがゼロと、それで新増設はしない。しかし、一方でサイクルは進めると、こういうことになると、プルトニウムバランスはどうなるのですか。基本的に申し上げますと、いろいろな意味で破綻をしていたと思います。
 それで、新増設、リプレイスにつきまして、どこまで記述するか、分科会におきましてまさに御議論いただいているところでありますけれども、今回は原子力全体の位置づけをどうするかということが議論の中心になってくると考えております。そして、基本的な方向につきましては先ほど申し上げたとおりであります。
 更に申し上げると、前回の基本計画、それからエネ環において、全く最終処分について現状維持でした。そこにつきまして、新たに国が前面に出て加速化のプロセス、今までのプロセスを見直す、我々としては相当踏み込んだ表現にこの部分はなってくると考えております。

 

Q: エネルギー基本計画で2点お伺います。
 1点目は、新増設のところなのですが、先ほどエネ環のところでちょっと非現実的だったかもしれないということなのですが、これは新増設しないということが非現実的だったということでしょうか。

 

A: 全体で申し上げると、これは現行の基本計画、そこからエネ環について、50%がゼロになるということです。ゼロとしてやっていけるのかという根拠がない。新増設はしません。一方でサイクルは回すということになったら、プルトニウムバランスというのは当然崩れてくるわけです。そういったことも含めて非現実的だと、こういう表現を使わせていただきました。

 

Q: 先ほど基本政策分科会の意見を取りまとめて12月中旬にということだったのですが、大臣は常々比率は盛り込めないとおっしゃっていますが、委員会の中では比率は盛り込むべきだという意見がありますが、改めていかがでしょうか。

 

A: ベストミックスをつくっていかなければなりません。最終的には責任ある需給体制を構築していくということでありまして、我々も政権公約等でベストミックスの目標を3年以内に確立し設定をして、10年以内に責任あるエネルギー需給体制を構築していく、こういった形にしておりますけれども、実現可能な状況が見えてくれば、ベストミックス、できるだけ前倒しで決めていきたいと私は考えております。
 ただ、現段階において、例えば原発についても7原発、14基について安全審査が行われておりますけれども、そういった結果も出ておりません。それから、再生可能エネルギーにつきましても、導入からまだ日も間もないということであります。
 更には、今後例えば実際シェールガスにつきましても、アメリカから3つのサイト、輸入が決まっております。もう一つの輸入であったり、カナダも出てまいります。こういったLNGをめぐる地政学的な変化であったり、石炭をめぐる技術的な革新、さまざまな要素というのを見ていかなければいけないと思っていますけれども、思った以上に見えてきているという思いは持っております。ただ、なかなか12月段階で数字として具体的にお示しするのは難しい。ただ、3年以内と申し上げているものをできるだけ実現可能な状況が見えてくれば前倒しはしていきたいと思っています。

 

Q: 今のお話と関連して、恐らく積み残しになっていくベストミックス、数字の比率の問題なのですが、原発の比率等の問題についても、今後多分議論を重ねていかなければならないと思うのですが、これは来年も続けて御議論をこの委員会でされていくというお考えでしょうか。

 

A: そのところはまだ決めておりません。何らかの形で議論は進めなければいけないと思っておりますけれども、どういうレベルで、またどういうメンバーでこれをやっていくかということについては、今後検討したいと思っております。

 

Q: 原子力をベース電源にするというお話ですけれども、自民党の公約でもある将来の原発依存度を徐々に引き下げる、基本的には変わらないという認識でよろしいのでしょうか。

 

A: それで結構です。原発依存度は可能な限り低減をしていく、その公約は変わりません。

 

Q: エネルギー基本計画について伺いますが、原発をめぐる議論の中で、基本計画分科会の委員からも、高レベル放射性廃棄物の処分地が先にないと、原発の再稼動というのもするべきではないのではないかという意見が聞かれます。
 処分地の選定に向けて、国が前面に出るというのは、いわば方針転換をすると、道筋を示すことによって、先行する形で再稼動があったとしても問題がないというような政府の認識でしょうか。

 

A: 必ずしもこの再稼動の問題と最終処分の問題、完全にリンクして考える問題ではない。どちらかがないからどちらかが進まないという問題ではないと思っております。例えば、既に1万7,000トンの使用済燃料があるわけでありまして、再稼動する、しないにかかわらず、これをどう処理するかという問題は考えていかなければいけないと思っています。
 当面どうするかということで考えると、恐らく乾式の貯蔵施設の整備、こういった形で、使用済燃料の貯蔵能力の拡大ということも当面の問題としては考えていかなければならない。ただ、最終処分の問題はきちんとやる。しかし、これまで10年間進んでこなかった。こういう現状を見れば、民主党政権時代は2回にわたります戦略の中で全く触れていませんでしたが、我々としては、国がこの問題について前面に出て解決すべく新しいスキームをつくっていくというつもりでおります。

 

 

【特定秘密保護法案】
Q: 特定秘密保護法案なのですけれども、今日国会最終日でして、与党の強行採決の運びになっていると私は思っていたりするのですけれども、審議時間が足りないだとか、国民の知る権利が守られないのではないかという懸念が野党中心に出ております。

 

A: 森大臣に聞いてください。

 

 

(以 上)